安倍首相は11月18日、来年10月に予定していた消費税率10%への再増税を2017年4月まで1年半延期する方針を示しました。理由については「(今年4月の)3%分の税率引き上げが個人消費を押し下げる大きな重しとなっている。今年4月に続いて引き上げれば個人消費を抑え、デフレ脱却を危うくすると判断した」などと述べました。
先送りを判断した要因の一つが7~9月期の国内総生産(GDP)速報値です。年率換算で1.6%減と2四半期連続のマイナス成長でした。安倍首相は再増税の先送りとともに、衆院の解散も表明し「国民生活に大きな影響を与える税制で重大な決断をした以上、国民の声を聴かなければならない」などと説明しました。
ミニ解説
消費税10%への引き上げ先送りについてどう思いますか
消費税の税収は年金、医療、介護、少子化対策の社会保障費に充てるとされています。社会保障費は少子高齢化で膨らみ続けており、国の2014年度当初予算で30兆円超に上り国の歳出の約3割を占めています。また国の借金は1千兆円を超えています。
消費税の増税は社会保障の財源を確保し、財政の健全化を進めることが目的とされています。一方で安倍首相は消費税率10%への再増税を延期する方針を示しました。そのため政府が2015年度に予定していた子育て支援などの充実策は見直される可能性があります。
消費税を増税するという考え方をどう思いますか
2012年11月、当時の民主党政権で自民党総裁だった安倍首相と民主党の野田佳彦首相が党首討論で、「身を切る改革」として衆院議員の定数削減を約束し、自民、公明、民主の3党が「2013年の通常国会中に定数削減の結論を出す」と合意しました。
国民に消費税増税の負担をお願いする代わりとして、与野党が「身を切る改革」を進めるはずでしたが、現在も実現していません。国民負担増となる消費税の増税は今年4月、税率が5%から8%へと引き上げられました。
国会議員の定数削減についてどう考えますか
今年6月、介護保険や医療提供体制を見直す地域医療・介護総合確保推進法が成立しました。一定以上の所得(厚生労働省は年間の年金収入280万円以上を想定しています)がある介護サービス利用者の自己負担を2015年8月から、1割から2割に引き上げることなどが決まりました。
また厚労省は、現役世代と高齢世代の負担の公平化などを進めるための社会保障制度改革を検討しています。厚労省の改革案には、75歳以上が入る後期高齢者医療制度の保険料を最大9割軽減している特例措置を段階的に廃止することや、特別養護老人ホームの相部屋で新たに月1万5千円程度を入居者に求めることなどが含まれています。
「社会保障で、所得の高い高齢者の自己負担を増やす」という方針をどう思いますか
※「無回答」の中には、回答の選択肢の中から回答を選ばなかった立候補者も含まれています。
※候補者本人の申し出により、藤岡隆雄氏の回答を一部訂正しました。(2014年12月9日)